「ポート株式会社(7047)」に学ぶメディアのマネタイズ方法

「バーティカルメディア」という用語があります。「verticlal(=垂直方向)」のメディアという言葉の通り、ある部門に特化した情報を深く深く掘り下げて扱っているメディアをさします。

海外サッカーファンの私は、日々「Goal.com」や「サッカーキング」を読んでいますし、オトナの女性向け「TRILL」など、幅広い年齢や性別、興味関心に対応したメディアが存在していますよね。

デジタルマーケティングの世界でもたくさんの活用事例があります。バーティカルメディアを訪れたユーザーはその分野への関心が高い場合が多く、メディアでユーザーの情報を蓄積し、企業に提供する「リード送客」の費用をもらって収益化する流れが一般的です。

その中でも今回取り上げるのは「PORT(ポート)株式会社」。「バーティカルメディア企業の勝ち筋」を示してくれていると言っても過言ではありません。さっそく見ていきましょう。

どんな企業か?

ポート株式会社の名前はあまり知られていないでしょう。しかし、「就活会議」「キャリアパーク!」のサイト名を聞いたことがある、または利用したことがある人は多いのではないでしょうか?複数のバーティカルメディアを運営し、収益をあげている会社です。

事業概要

ポート株式会社は、複数のメディアを運営するインターネットメディア会社です。主力の就活(キャリア)分野に始まり、マネー情報、リフォーム領域、電力事業者比較のマッチングサイトを展開しています。

ビジネスモデルは各分野で共通しており、以下の通りです。

  • 特定のバーティカルメディアが存在しないジャンルを狙ってメディアを立ち上げ、ユーザーのニーズにあったコンテンツ記事を執筆
  • SEO対策で記事を上位表示させ、読者(ユーザー)を増やす
  • ユーザーに情報登録、申し込みを促す
  • ユーザー情報を企業にリード情報として提供(送客)し費用をもらう

メディアとして狙う領域は、「社会課題の解決」×「非日常領域」×「デジタル化遅延領域」参入基準が言語化されており、不用意にジャンルを広げすぎることのないよう意思統一ができているのだと思います。

ポート株式会社の経営方針
出典:2023年3月期 第2四半期決算説明資料

ーザーを集客できなければ事業が成り立たないので、どの分野のバーティカルメディアとしてポジションをとるのか、を重視していることがわかります。

デジタル化が浸透していない分野は、特にBtoB領域では多く、個人で比較サイトを運営しているケースも見られます。個人や企業が新たな市場への参入を考えるとき、非常に参考になる考え方ではないでしょうか。

業績は?|稼ぎ頭は「就活」

複数のバーティカルメディアの中で、稼ぎ頭となっているのが「就活(キャリア)」の領域です。「キャリアパーク!」口コミサイト「就活会議」、ノウハウ提供「就活の未来」などニーズに応じて複数のメディアを展開しています。

直近の2023年卒の会員数は40万人を超え、2030年には合計の会員数500万人を見込んでいます。20代の社会人シェア70%にあたる数字とは驚きです。おそらく、自分も会員の一人です。

売上の要素を分解した図も公開されており、非常にわかりやすいです。

ポート株式会社のKPI
出典:2023年3月期 第2四半期決算説明資料

送客は人材会社(マイナビ、リクルートなど)から、人材紹介は企業(就活生を獲得するため人材紹介をしてもらう企業)から費用を受け取るビジネスモデルだと読み取れます。くわしく、就職領域の業績を見てみましょう。

ポート株式会社の業績
出典:2023年3月期 第2四半期決算説明資料

売上高23億円、営業利益10億円と、全社売上の3分の1を稼いでいる主力事業であることが数字からも読み取れます。営業利益率43%の実績も素晴らしいです。圧倒的な会員数をすでに確立している以上、過度な営業をせずとも企業への送客ができる好循環になっていることが想像できます。

送客と人材紹介では、送客事業がより売上をあげていることがわかります。

ポート株式会社の業績推移
出典:マネックス銘柄スカウター

就活以外のすべてのメディアを合計した収益をみても、順調な成長が読み取れます。22年3月期の売上は69億円、営業利益は5億9900万円。23年3月には、売上高100億円超えを見込み、利業利益率も向上することを見込んでいるのが読み取れます。

まとめ

さまざまなメディアを展開して事業を拡大している「ポート株式会社」について解説しました。IR情報にはバーティカルメディアの収益構造がわかりやすくまとまっており、コンテンツマーケティングを始める際のモデルケースとして参考にできると思います。

個人的には、メディアで勝てる分野をみつける知見をもっと知りたいですね。

「社会課題の解決」×「非日常領域」×「デジタル化遅延領域」という参入条件は納得しますが、どうやって見つけていくのか・・・これが簡単にできれば苦労しないでしょうし、その目利き力こそポートの強みなのかもしれませんね。

という参入条件は納得しますが、どうやって見つけていくのか・・・これが簡単にできれば苦労しないでしょうし、その目利き力こそポートの強みなのかもしれませんね。

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